高校までは敷かれたレールを走るだけで十分でしたが、卒業してからは自分で判断することばかりになります。
そんな君達への当塾最後の授業。
僕の考える人生の羅針盤(かなり偏った思想)
今までの卒業生に伝えてきた内容を今回は書きたいと思います。
正解も失敗も、沢山したし見てきた人生の先達として、一つでも多く情報を伝えられれば幸いです。
情報を広く集めよう
此処から先、情報が生命線となります。
今までは、学校の先生や塾の先生が自動的にいろんな情報を教えてくれていたと思いますが、今後はそんな存在はいません。
大学の教授は先生ですが、先生ではありません。研究が主で教育は二の次です。皆さんの人生の責任は持ってくれないのです。
聞けば色々教えてくれる優しい人が多いですが、聞かなければ何も出てきません。
では、どこから情報を入手するか。
これも自分で判断せねばなりません。
よくある間違い、大学の先輩に聞く。
就職や単位のことを先輩に聞くことは多いと思いますが、その先輩は就職できていますか?卒業できていますか?信頼できますか?
僕の大学で、皆に慕われている8年生の「老害」というあだ名の先輩がいました。
当然相談してはいけない人です。
流石にそこまで極端だと分かりやすいのですが、1個上でまともそうに見える先輩でも、最終的に卒業単位が足りないとかで、騒いでることもあります。
先輩に相談することは決して悪いことではありませんが、盲信してはいけません。その人はまだ途中の人なのです。
では誰に相談すれば良いのか?
正解は沢山の人です。あと、インターネット。
なるべく多くの種類の人に話を聞けば、大体まともな情報になっていきます。ネットの情報もデマは多いですが真実も多いので、沢山見れば信頼度は上がります。
1人の先輩よりは2人の先輩。1学年上だけでなく2学年上、卒業生。同じサークルの人、別のサークル。バイト先のおじさんおばさん。教授。ご近所さん。
10人くらいに相談すれば一人は良いことを言ってくれるものです。誰の情報が一番良いかの判断は自分でしましょう。
受験勉強を乗り越えたあなた方には、判断をする力があるのですから。
僕の意見もあくまで情報源の一つとして、その良し悪しは自分で判断してください。
大学生活
やるべきことは沢山あります。
が、一番大きいのは就職活動。
就職活動の始まる3年生の夏が一つの句切れになります。
3年生の夏前後で大学生活を分けて考えましょう。
3年生の夏まで
狭い意味で、この期間を大学生活と考えると良いです。これ以降は就活の時期になります。やりたいこと、やるべきことは全てこの時期までに終わらせましょう。
人生の準備期間です。ここでどれだけ準備できたかで、人生の難易度が変わってきます。
- 留学
- バイト
- サークル
- 運転免許
- 卒業単位
- 英語の勉強(toeic toefl)
- 就活準備(ガクチカ、インターンシップ)
- クレジットカードを作る
- 教員免許
- お金の勉強
- プログラミングや動画編集、HPの勉強
- 個人でお金を稼ぐ(起業)
- 資格(簿記2級やFP3級)
- 投資
- ボランティア
- 大学院に行くかどうか
- 沢山失敗をする
この時期は留学を中心に計画を立てると良いです。
もう一度やり直すとしたら僕は留学しますね。
大学院という選択肢
理系の人は大体大学院まで行きます。
文系は就活で失敗した場合に行くことが多いです。
英米では院まで進むことが多くなっているので、日本もいずれはそうなるのでしょうが、現状学士で終了することが一般的です。
時代の情勢も踏まえながら検討しましょう。
3年生の夏以降
就活が本格的に始まります。
今までの準備がものを言うのです。
大学院に行く場合は院を見据え始める時期ですね。
自分のやりたい仕事は見つかっていますか?
TOEICの点数は十分ですか?
ガクチカ(学生時代に力を入れたこと)はまとまっていますか?
よろしい。では後はエントリーをして、面接を受けて内定をもらうだけです。
何!?
準備ができていない?
やりたいことが分からない?
バイトしていた業界はどうですか?
ずっと塾の講師をしていたけど、その業界は合ってなかったと。
じゃあ、他のバイトもしておいた方が良かったですね。
バイトはいくらやっても履歴書に書かなくて大丈夫です。ということは何社辞めても経歴に傷がつかない。
職選びも兼ねてバイトをするべきです。
IT系は一度は体験すると良いですね。
何、ガクチカも無いだと。
留学した話はどうですか?
バイトで売上を伸ばした話はどうですか?
ボランティアで地域を盛り上げた話は?
サークルを大きくした話は?
起業した話は?
ガクチカ(学生時代に力を入れたこと)に書けるエピソードが4つは欲しいですね。
内定後(4年生の夏以降)
ここからは本当の自由です。
もしかしたら人生最後の自由時間かもしれません。
世界一周に行くも良し。
まとまった休みを取れることなど今後はそうそうないので、人生の春を謳歌しましょう。
何!?
卒業単位が足りない?
遊んでいる場合じゃないです。
卒業できなければ内定取り消し。
何単位足りないんですか?
そ、そんなに!?
確実に卒業するために多めに授業を取らなければ。
テストで確実な点を取らなければ。
1、2年生のうちに多めに卒業単位を取っておけば良かったですね。
就職
いよいよ社会人。
40年間のスタートです。
いつかは社長か会長か。期待に胸を膨らませることでしょう。
運転免許がないだと!?
いきなり支店長に嫌な顔されてますね。
取っておきましょう。
3年以内離職率は31%、平均勤続年数12年。終身雇用32%。
順調に出世して定年まで勤め上げた人は幸せです。いきなり天職に巡り会えたのですから。
しかし実際は、3分の1が3年で辞め、半数弱が10年で辞め、最後まで残れるのは3人に1人。
就活の時にどんなに自己分析をしていても、なかなか正解は見つけられません。
僕を含め辞めている友人は多いです。
なるべく長く勤めたほうが良いですが、人生設計においては、最悪の場合も想定しておいたほうが安全です。
さあ、その時どうするか。
転職
どうしても今の仕事を辞めたいけれども、不安だ。
勢いで辞めてしまったら、クレジットカードが作れなくなってしまった。
ということにならないように、大学生のうちにカードを作ってクレジットヒストリーを作っておきましょう。
次の仕事をどうしようか。
そうだ、教員免許を持っているから教師になろう。
実際に生徒で転職して教師になった子もいます。
教員免許という資格を一つ取っておくと、人生の安全保障になるのです。
最初から教師になりたい場合も、一度は民間に就職することをおすすめします。
教師をやめたくなった場合に民間の経験がないと再就職も難しいですし、人生の経験が学校だけになってまうのもマイナスです。
リスクヘッジ(危険回避)できるように資格を取ったり、民間を経験しておくと安心ですね。
いつでも辞められると思うと逆に仕事を続けられることもあります。
キャリアプラン
さて、上で書いたように終身雇用の確率は32%。
本当に終身雇用は崩壊してるんですね。
ということは、キャリアプランは自分で考えなければいけない可能性が高いです。
山崎元のキャリアプランニングより
28歳までには自分の職、専門領域を決めたいですね。
キャッシュフロー・クワドラント
キャリアプランに関して最近よく聞くのがキャッシュフロー・クワドラントです。
キャッシュフロー・クワドラントより
従業員→自営業者→社長→投資家
になりましょうというものです。
現状、会社員のキャリアプランの中期目標としては、自営業(恐らくコンサルタント)を目指すのが現実的だと思われます。
副業で始める人が多いですね。
ちなみに僕は教育コンサルタントです。
会社を選ぶときも、将来何のコンサルタントになりたいかで選ぶのも良いですね。
会社の中で専門性を磨きましょう。個人でコンサルタントになれるように。
自営業
さて、副業を始めよう。
でも、確定申告も会計も分からないから難しいな。
辞めておこうかな。
簿記を勉強しておけば楽に始められたなー
簿記は勉強しておきましょう。3級でも良いですが2級まであれば万全。
簿記はビジネスの共通言語です。
社会人必須の知識です。
更に、ホームページをwordpressで作った経験もあれば、何の仕事でも始められます。
余談ですが、大学で経済と会計の単位をそれぞれ24単位以上取っておくと、米国公認会計士の資格を取れるらしいです。
定年後
退職金を1200万も貰ったぞ!
住宅ローンも少し残ってるけど、
最近流行っているから株に全部投資しちゃおう!
定年後は2000万必要みたいだし、少し増やさないとな。
ご家族の方、全力で止めてください。
そのお金5年以内に全部なくなります。
運が良くても半分になります。
もと株屋の僕が言うので正しいです。
どうせ失敗するなら、若いうちのほうが金額が小さいです。
お金の勉強
恐らくというか、確実に大学で一番勉強しておくべきことはお金の事です。
FP3級を取得しておきましょう。就活で役立つことはあまりありませんが、人生においての影響は一番大きい資格です。
僕はお金の勉強が好きすぎて1級まで取得しました。資格としての使いみちはあまりありませんが、人生は豊かになりました。
お金の勉強で最も大事な式は
今期の資産 = 収入 - 支出 + 前期の収入×利回り
重要なのは 収入>支出>利回り の順です。
収入を増やすために就活を頑張ってた訳ですしね。
上手くキャリアを積んでいき、収入を増やしましょう。
収入を増やすための自己投資は大事です。
節約
支出を減らしましょう。豪遊していてはお金は貯まりません。
どっちのスーパーのもやしが安いかを気にする前に、大きいところから削減しましょう。
住居>保険>車>日々の支出>節税>スマホ等通信費>光熱費>新聞
ちなみに自己破産原因
低収入、支出過多、事業の失敗、病気、住宅ローン、ギャンブル、肩代わり
家に関して僕の考える合理的順序(左が良い)
中古戸建>中古マンション>賃貸>新築>新築タワマン
異論は色々あると思いますが、こんな順になると思います。
賃貸派の人は多いですが、長く住めるなら買ったほうが得です。
新築は恐らく賃貸よりも劣後します。
新築の家は鍵を通した瞬間に資産価値が3割下落します。
3000万の家をフルローンで買っていた場合、
売買で10%の手数料と税金がかかるとして3300万
住み始めた瞬間に資産価値が2100万になるので、
資産だと思っていた家が1200万の負債へとジョブチェンジします。
住宅ローン控除を考慮して金利無し計算にしていますが、本当はもう少し多くの負債になります。
家に関しての勉強は必須です。人生の難易度が変わってきます。
実家か企業の家賃補助は最強です。
保険
僕は何も入っていません。
国民健康保険と高額療養費制度で十分です。
不健康な人は入っておきましょう。
生命保険ならば住宅ローンの団体信用生命保険で十分です。
大学の間の国民年金に関しては、学生納付特例制度を使う人が多いのですが、余裕があるのであれば、付加年金つけて親に払ってもらうと所得控除になりますし、得なのかなと思います。
車
乗り潰しましょう。
しかも中古で十分です。
車はただの足です。
車屋さんによるとエンジンかミッションが壊れるタイミングが買い替えタイミングらしいです。
買わないという選択も吉
その他節約
確定拠出年金やふるさと納税で節税したり
水を持ち歩いてスタバをやめたり
楽天モバイルにして通信費をゼロにしたり
電気とガスの見直しをしたり
新聞をやめてみたり
細かい節約も塵も積もれば山となります。
それで余った余剰資金を投資に回すのです。
投資
早めに始めましょう。
長期で見ると得が大きいのですが、人生の後半で始めて大きく失敗した場合取り返すことができません。
10年も積立投資をやっていると、暴落も一回は経験できるので、一人前になれます。
しかもその頃には、月々の変動が給料と同じくらい大きくなっているでしょう。
最初は全員失敗します。これは絶対です。
ならば、若くて額が小さいうちが良いのです。
貯金は日本円投資
投資は怖いから一切やりません、という人がいます。
しかし投資をしていない人というのは実はあまりいません。
宵越しの金は持たねぇ、全て消費するのだ、みたいな江戸っ子以外は皆投資家です。
貯金している日本円だって投資商品です。
世界の基軸通貨はドルです。
もっと基本となる商品はゴールドです。
ゴールドを基準に日本円投資の効果を見てみましょう。
2000年には1万円で9.86グラムの金を買えたのですが、2022年1月現在は1.48グラムしか買えません。
凄いですね。22年間で85%も下落しています。
単純計算で年間3.86%下落していますね。
そりゃ米国株も上がるわけです。日本円が85%下落しているのですから。
難しい話ですね。
多分そんなに下落している実感は無いと思います。
この話がピンとこない場合は、お金の勉強をしなければいけないということです。
総括
長かったですね。
毎年卒業する生徒に話している内容なのですが、年々増えている気がします。
当然僕も、まだまだ途上な人間です。
これからも内容は増えていくのでしょう。
この知見が、何か少しでも生徒の人生にプラスになるといいなと思います。
かなり偏っているので、内容の取捨選択は自己責任でお願いします。