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慶應義塾大学法学部FIT入試解答例

2026年度

A方式

1.模擬講義

講義のテーマ

「北朝鮮をどう読み解くか」

講義の内容

Ⅰ はじめに

Ⅱ 調査方法の例

1.フィールドワーク

2.亡命者・脱北者へのインタビュー:HUMINT(Human Intelligence)

3.衛星画像の分析:IMINT(Imagery Intelligence)

4.公開情報の読み解き:OSINT(Open Source Intelligence)

5.周辺国からの観察

Ⅲ おわりに

大学1年生が受講して理解できるレベルの講義を50分行う。

2.論述試験

問題

「講義で示した例のように、多角的な調査方法を用いることで実態や背景を明らかにできる社会的課題の具体例を取り上げ、その調査方法にはどのようなものがあり、その調査方法には、どのような利点と課題があるかを説明しなさい。」

解答形式:A3原稿用紙形式・2240字以内
試験時間:45分

回答

私は、地方における不登校児童生徒の「支援へのアクセス格差」を取り上げる。ここでいう格差とは、単に支援施設の数が地域によって異なることではなく、支援を必要とする児童生徒が、本人の希望とは別に、居住地、交通手段、所得、情報量などによって必要な支援を利用できない状態を指す。この問題は、行政統計だけでも、当事者の証言だけでも実態を十分に捉えられないため、多角的な調査が必要である。

第一に、文部科学省、自治体、教育委員会が公表する統計や議会資料などの公開情報を分析する。不登校児童生徒数、教育支援センターや民間施設の数、利用者数、予算、相談件数などを地域間・年度間で比較すれば、問題の全体像と地域差を広く把握できる。公開情報は多数の地域を同じ指標で比較しやすく、継続的な変化も追える点が利点である。しかし、施設数や利用率だけでは利用しにくさの原因までは分からない。利用率が低い地域でも、交通が不便なのか、学校内支援が充実しているのか、施設の存在を知らないのか、そもそも利用希望が少ないのかという複数の説明が成り立つ。また、自治体によって不登校や支援利用の定義、把握範囲が異なる可能性にも注意が必要である。

第二に、地理情報と公共交通のデータを用いる。児童生徒の居住地域から支援施設までの距離、所要時間、運行本数、乗換回数などを調べれば、「施設が存在するか」ではなく「実際に通えるか」を数量的に比較できる。人口当たりの施設数が同じでも、都市部では徒歩や電車で利用でき、地方では保護者の自動車送迎が必要という差があり得る。ただし、距離が近いことと利用しやすいことは同じではない。利用料、家庭の時間的余裕、心理的抵抗、施設との相性などは地理情報だけでは把握できない。

第三に、不登校経験者、保護者、教員、支援施設職員へのインタビューを行う。これにより、「制度を知らなかった」「送迎できなかった」「学校から紹介されなかった」「人間関係が不安だった」といった、統計に表れにくい障壁やその背景を知ることができる。複数の立場から聞けば、同じ出来事が本人、家庭、学校側でどのように異なって理解されているかも分かる。一方、聞き取りに応じる人は問題意識の強い人に偏る可能性があり、記憶や立場によって説明も変わる。したがって、一人の証言を一般化せず、立場の異なる複数の対象者から情報を集める必要がある。

第四に、学校や支援施設でフィールドワークを行う。開室時間、相談から利用開始までの手続、職員配置、児童生徒への対応、送迎の実態などを観察すれば、制度上は利用可能でも実際には利用しにくい要因を発見できる。資料上は同じ「支援施設」でも、利用条件や日常の雰囲気には大きな差がある可能性がある。ただし、調査者の存在によって行動が変わる可能性があり、未成年者を対象とする以上、本人と保護者の同意、匿名化、プライバシー保護も重要な課題となる。

第五に、学校や自治体を通じた匿名アンケートを行い、支援を利用していない不登校児童生徒も含めて、利用希望、制度の認知度、移動手段、費用負担、利用しない理由などを尋ねる。インタビューより多くの人を同じ質問で比較でき、どの障壁がどの程度広がっているかを推定しやすい。一方、不登校の程度が重いほど学校を通じた調査に回答しにくいなどの回答者偏りが生じれば、最も支援から遠い人ほど調査から抜け落ちる危険がある。したがって回答率や回答者の属性を確認し、必要なら民間支援団体など複数の経路から対象者を集めるべきである。

さらに重要なのは、これらの方法を単に並べるのではなく、競合する説明を区別するために組み合わせることである。例えば、施設利用率が低い地域で平均所要時間も長く、さらにインタビューやアンケートでも交通が主要な障壁として繰り返し挙げられるなら、「交通アクセスが利用を妨げている」という仮説の信頼性は高まる。逆に、所要時間が短いにもかかわらず利用率が低ければ、情報不足、費用、心理的抵抗、学校内支援の充実など別の要因を検討すべきである。また、所得水準や不登校の程度が似た地域同士を比較すれば、単なる地域差ではなく特定要因の影響により近づくことができる。

もっとも、こうした観察調査だけで完全な因果関係を証明することは難しい。交通条件が悪い地域には、所得、人口密度、支援人材の不足など別の条件も重なっているかもしれないからである。したがって、調査結果から言える範囲を超えて断定せず、どの説明が他より強く支持されたのかを示すことが重要である。

このように、多角的調査の意義は情報量を増やすこと自体ではない。異なる方法が持つ弱点を互いに補い、一つの現象について複数の説明を比較し、証拠が一致する点と食い違う点の双方を検討することで、単一の統計や個人の経験だけでは見えない社会的課題の実態と背景に、より慎重かつ正確に近づける点にある。

3.口頭試問

法律学科

問題

「裁判で犯罪者に死刑が確定した場合、法務大臣は6か月以内に執行を命じなければならないとされています。しかし、これは訓示規定と解されていて、近年では、判決確定から死刑執行までの平均期間は約9年6か月となっています。アメリカでは、この期間が更に長く平均23年3か月となっています。死刑囚の中には死刑が執行されないまま10年から30年も経過している者もいます。こうした状況によりどのような問題が生じうるかを述べ、さらにこの状況を解決するためには、死刑廃止以外で、どのような方法が考えられるか、自分の考えを述べてください。」

口頭試問時間:約15分

回答

私は、問題を単に「執行まで長いこと」と捉えるのではなく、「執行を留保する判断が長期間続くのに、その理由と審査手続が十分に統制されていないこと」と捉えます。長期化により、死刑確定者には執行時期を予測できない精神的負担が生じ、同様の事件でも執行時期が大きく異なれば刑罰執行の公平性への疑問も生じます。被害者遺族にとっても、事件が実質的に終結しない状態が続く可能性があります。

ただし、六か月以内の執行を機械的に義務づけることには反対です。死刑は執行後に回復できないため、再審請求や新証拠がある場合には誤判防止を優先すべきだからです。

そこで、一定期間ごとに執行の可否を再審査し、執行しない場合には理由を記録する制度を法律上設けるべきだと考えます。審査では、再審手続の状況、新証拠の有無、その他執行を妨げる事情を確認し、法務大臣が最終判断を行う一方、外部の法律家等を含む独立性の高い機関から意見を受ける仕組みにします。公開するのは個人情報ではなく、審査が行われたことと留保理由の類型に限ります。

この制度なら、必要な場合に執行を待つ余地を残しつつ、単なる先送りを防げます。したがって、解決すべきなのは期間の長短そのものではなく、執行する場合にも留保する場合にも、その判断を定期的に検証可能にすることだと考えます。

政治学科

問題

「Xやインスタグラムなどインターネット上で人々がつながり、情報を共有するためのプラットフォームであるSNSのような新たな技術の進展によって政治や社会の在り方は変容を迫られます。オールドメディアと比較した場合のSNSの特性を踏まえた上で、SNSが民主主義に与える影響について、あなたの考えを述べてください。」

口頭試問時間:約15分

回答

私は、SNSが民主主義に良いか悪いかを一括して評価するのではなく、民主主義のどの機能に影響するかを分けて考えるべきだと思います。民主主義には、市民の政治参加、異なる意見を検討する熟議、権力監視、公正な政治的競争など複数の機能があるからです。

オールドメディアと比べたSNSの第一の特徴は、一般市民でも低コストで発信できることです。これは少数者の発言や権力監視を容易にし、政治参加を広げます。第二に、編集者だけでなく利用者の反応や推薦アルゴリズムが情報流通を左右します。そのため、正確性とは別に、怒りや驚きを生む情報が多く反応され、それがさらに拡散されるなら、熟議に必要な情報環境を損なう可能性があります。第三に、利用者ごとに異なる情報が提示されるため、市民が議論の前提となる事実を共有しにくくなる場合があります。

ただし、SNS利用者の分極化が観察されても、SNSが原因とは直ちに言えません。もともと強い政治的関心を持つ人ほどSNSを利用するという逆の因果も考えられるからです。

したがって私は、政府が発言内容の正誤を広く判断するのではなく、政治広告の主体、ボットによる発信、推薦の仕組みなど、情報が誰によってどのように届いたかを検証しやすくする制度を重視します。政府自身が政治的当事者なので、内容規制を強めすぎれば批判的言論を抑える危険があるためです。SNSの参加可能性を維持しながら、市民が情報流通の背景を判断できる条件を整えることが、民主主義への利点を残しつつ危険を抑える方法だと考えます。

B方式

1.総合考査Ⅰ

問題

都道府県における総人口、高齢者人口および人口変動の要因に関する統計や図から、日本における人口変動や高齢化とその要因、およびそれによって生じると考えられる問題について読み取りなさい。

解答形式:A3原稿用紙形式・400字程度
試験時間:45分

回答

資料から、日本では人口減少と高齢化が全国一様に進んでいるのではなく、地域ごとに程度と要因が異なることが分かる。人口変動は、出生数と死亡数の差である自然増減と、転入数と転出数の差である社会増減に分けて考える必要がある。特に若年層の流出が大きい地域では、現在の社会減に加え、将来その地域で子を持つ世代も減るため、自然減をさらに強める可能性がある。また、高齢化率の上昇も、高齢者数自体の増加による場合と、若年人口の減少による場合とでは意味が異なるため、高齢者の絶対数も併せて見る必要がある。こうした変化が続けば、人口減少地域では税収や担い手が減る一方、医療・介護や公共交通など一定のサービスを維持する負担が重くなる。さらに生活基盤の縮小が転出を促せば、人口減少が自己強化される。したがって、人口規模、年齢構成、自然増減、社会増減を関連づけ、地域ごとに問題の構造を捉える必要がある。

2.総合考査Ⅱ

問題

Yascha Mounk, The People vs. Democracy: Why Our Freedom Is in Danger and How to Save It, Harvard University Press, 2018 の一節を読み、著者の主張に触れながら、リベラル・デモクラシーの衰退という現代の政治的課題について自分の考えを論じなさい。

解答形式:A3原稿用紙形式・400字程度
試験時間:45分

回答

Mounkは、リベラル・デモクラシーを、個人の権利を保障する自由主義と、民意を政治に反映する民主主義の結合として捉え、両者が分離しつつあると指摘する。私は、この衰退を防ぐには、多数派の意思を尊重しつつ、将来の政治的競争を壊す決定だけは多数決から守る必要があると考える。例えば、税率や福祉水準は選挙で変更できるべきだが、表現の自由、公正な選挙、野党活動まで現在の多数派が奪えば、次の選挙で別の多数派が成立する可能性そのものが失われる。他方、権利保障を理由に裁判所や専門家へ政策判断を広く委ねすぎれば、民意が政治に反映されず、民主的正統性が弱まる。したがって、非多数決機関が守る範囲は特定の政策内容ではなく、将来も政権交代と自由な政治参加を可能にする条件に限定すべきである。自由主義と民主主義の一方を優越させるのではなく、民主的競争を持続可能にする境界を設けることが必要だ。

2025年度

A方式 論述試験

問題

アメリカにおけるジェリマンダーの防止や認定の難しさは、他の社会的課題の解決の難しさに通じると考えられる。実際に同様の事例として、他にどのようなものがあるだろうか。具体例を挙げてジェリマンダーの問題との共通点を示しながら説明しなさい。

解答例

講義で示されたジェリマンダーの解消の難しさは、三つの要素に分けられる。第一に、区割りそのものは人口の変動に対応するために必要な正当な行為であり、党派的な区割りも外形上は同じ行為として行われる。第二に、公正な区割りを判定する基準が一つに定まらず、どこからが不当かについて合意がない。第三に、アメリカの多くの州では、区割りの結果によって利益を受ける州議会自身が区割りを行う。この三つが重なるため、不正を定義することも、それを防ぐ仕組みを作ることも難しくなる。私は、同じ構造をもつ社会的課題として、日本の政治資金の規制を取り上げる。

第一の共通点は、正当な行為と問題のある行為が同じ形をとることである。政治献金や政治資金パーティーは、市民や団体が支持する政治家を支える手段であり、政治参加の一形態として認められるべきものである。しかし、献金の見返りに特定の政策や便宜が図られれば、政治は資金を出した者のために歪められる。両者はいずれも、資金を受け取った政治家が政策を決めるという同じ外形をもつ。区割りを禁止できないのと同様に、献金を全面的に禁止すれば正当な政治参加まで失われるため、行為そのものを禁じることで問題を解決することはできない。

第二の共通点は、不正を認定する基準が定まらないことである。ジェリマンダーについては、得票率と議席率のずれや選挙区の形状など複数の指標が提案されているが、どれを採るかで評価が変わりうる。政治資金についても、献金と政策決定の間の対価関係を立証することは難しい。献金者に有利な政策が採られても、政治家がもともとその政策を支持していたのか、献金によって判断を変えたのかを外部から区別することはできない。贈収賄として処罰できるのは対価関係が明確な一部に限られ、それ以外の影響力については、どこから問題とすべきかの合意すらない。いずれの場合も、比較の基準となる「歪められていない状態」を直接観察できないことが、認定を困難にしている。

第三の共通点は、規制を作る者が規制される者でもあることである。政治資金規正法を改正するのは、その規制を受ける国会議員自身である。そのため、対象範囲や公開の程度、罰則の強さが、当事者に有利な方向へ調整される誘因が働く。2024年の政治資金規正法改正でも、派閥の政治資金パーティーをめぐる問題を受けながら、規制の範囲が十分かどうかが大きな争点となった。これは、区割りの権限をもつ議会多数派が、自らの議席を守る区割りを行う誘因をもつことと同じ構造である。

防止策も同じ限界を共有している。ジェリマンダーに対しては、独立した区割り委員会や裁判所による審査が考えられるが、委員の選任や基準の設定には再び政治が関わる。アメリカの連邦最高裁も2019年、党派的ジェリマンダーについて、連邦裁判所が判断するための司法的に管理可能な基準を見いだせないと判断した。政治資金についても第三者機関による監督が考えられるが、その権限や人選を定めるのは結局議会である。第三者機関を設けても、その権限、選任方法、判断基準の設定から政治的影響を完全に排除することは難しい。

もっとも、両者には重要な違いもある。区割りの効果は議席という数値に現れ、計算機で多数の中立的な区割り案を作成し、実際の区割りと比較する手法も提案されている。これに対し、政治資金が政策をどれほど歪めたかは、比較対象となる「献金がなかった場合の政策」を作り出せないため、ジェリマンダー以上に測定が難しい。したがって政治資金の問題では、不正を事後的に認定することだけでなく、資金の流れを事前に公開し、有権者が判断できる状態を作ることが重要になる。

講義の最後の問いに照らせば、二つの問題が示すのは、民主主義は権力をもつ者の善意にも、完全に中立な審判にも頼れないということである。そうであれば、制度は人間が自己の利益のために行動する可能性を前提とし、利益相反を可能な限り切り離し、切り離せない部分は公開によって有権者の目にさらす形で設計する必要がある。もちろん、公開された情報を判断する有権者もまた「ちゃんとしていない」かもしれない。それでも、不正を完全になくせなくても、不正のコストを高め、発見された歪みを次の選挙や制度改正によって修正できる状態を保つことはできる。不完全な人間による民主主義の可能性は、完全さではなく、この修正可能性にあると考える。


A方式 口頭試問(法律学科)

問題

米国、中国、ブラジルといった国々では、裁判所の手続にAIを導入しています。生成AIはすでに日本の司法試験でも一部科目で「合格水準」を取ることが可能となっています。一般にAIには多くのメリットがある一方で、さまざまなリスクがあることも知られていますが、司法や裁判制度にAIを導入することについてあなたは賛成ですか、反対ですか。

解答例

私は、裁判でAIを判断の補助として利用することには賛成ですが、最終的な判決をAIに任せることには反対です。

AIを判例検索や大量の資料の整理に使えば、裁判官の負担を減らし、裁判を迅速にすることができます。

一方、裁判では結論だけでなく、なぜその結論になったのかを当事者が知り、それに反論できることが重要です。AIの仕組みによっては判断過程を十分に検証できず、偏りがあった場合には、その偏りが多数の事件に広がる危険もあります。

したがって、AIは積極的に利用してよいと思いますが、最終的な判断は人間の裁判官が行い、その理由と結果について裁判官が責任を負うべきだと考えます。


A方式 口頭試問(政治学科)

問題

近年、AIの能力が著しく向上するなか、政治家や政党がAIを政治に利用する動きが見られます。AIは、人間には不可能な膨大な情報量を収集・分析することができるため、その分析結果を政治に利用することで、政策の「最適化」を図ることができる可能性がある一方、その判断基準や利益衡量が不透明化するおそれもあります。将来、AIが政治を補完したり、代替したりすることができるのか、あなたの考えを話してください。

解答例

私は、AIは政治を補完することはできますが、政治そのものを代替することはできないと考えます。

AIは大量のデータを分析し、政策によってどのような結果が生じるかを予測する点では、人間より優れる可能性があります。

しかし、政治では、その前に何を「最適」とするのかを決めなければなりません。例えば、経済成長を重視するのか、格差の縮小を重視するのかは、計算だけでは決められない価値判断です。

したがって、AIには政策の分析や予測を任せても、何を目指すのかを決め、最終的な判断について責任を負うのは、市民とその代表である政治家でなければならないと考えます。


B方式 総合考査Ⅰ

問題

「Global Gender Gap Report」2024年版の日本に関する評価を素材として、経済、教育、健康、政治といった点に関して図・データから特徴を読み取り、日本の男女格差の現状について論じなさい。

解答例

日本の総合スコアは0.663で146か国中118位だが、分野ごとの差が大きい。教育は0.993、健康は0.973と男女平等に近い一方、経済は0.568で120位、政治は0.118で113位にとどまる。つまり、教育や健康の段階では男女格差が小さいにもかかわらず、それが経済や政治における指導的地位の平等には結びついていない。特に管理職等の男女比は130位であり、意思決定層での格差が大きい。また、順位はスコアと併せて読む必要がある。教育が0.993でも72位なのは、多くの国が1に近く、僅かな差で順位が変わるためである。政治分野でも閣僚の男女比は65位なのに対し、国会議員は131位と低い。資料だけから原因までは特定できないが、日本の男女格差の核心は、教育や健康へのアクセスよりも、女性が経済や政治の意思決定の場に参加する段階にあると言える。


B方式 総合考査Ⅱ

問題

あなたには、就労のため外国人材として日本に長年居住し、永住資格を持つ知人がいます。最近その知人は失業し、生活に困窮しています。しかし、その知人は子供たちが日本語しか話せないため母国へ帰国せず、生活保護などの公的扶助を受けながら日本に滞在することを希望しています。あなたは、その知人が公的扶助を受給することについてどのように考えますか。400字程度で説明しなさい。

解答例

私は、この知人が公的扶助を受給することは正当であり、永住者については法的な権利として保障することも検討すべきだと考える。知人は長年日本で就労し、生活基盤を築いてきた。また、日本語しか話せない子どもにとって、帰国は生活や教育の基盤を大きく失うことにつながる。外国人を労働力として長期間受け入れながら、困窮した段階では国籍のみを理由に生活保障から排除するなら、外国人を生活者ではなく労働力としてのみ扱うことになりかねない。もっとも、公的扶助には財政負担が伴うため、再就職支援や職業訓練と組み合わせ、自立を促す必要がある。現行制度では、外国人への生活保護は行政措置として行われ、生活保護法上の受給権そのものは認められていない。永住を認め、日本社会に長期的な生活基盤を築くことを認めた以上、その生活保障についても安定した法的地位を与えるべきだと考える。

その通りです。A方式は模擬講義の内容を踏まえて答える試験なので、講義テーマと講義概要まで載せた方が問題として完結します。そこを補って全体を直します。

2024年度

A方式 模擬講義・論述試験

模擬講義

講義のテーマ:陰謀論と現代政治

講義の概要

1.2021年1月6日
2.陰謀論とは何か
3.陰謀論とインターネット
4.陰謀論と報道
5.陰謀論と政治的不安定性
まとめ

大学1年生が受講して理解できるレベルの講義を50分間実施。

問題

「現代政治について考える上で、陰謀論は、無視できない重要なテーマとなりつつあります。講義の内容を踏まえて、陰謀論というテーマがなぜ重要であるといえるのか、また、陰謀論にどう向き合うべきか、あなたの考えを論じてください。」

解答の形式:A3原稿用紙形式・2240字以内。
試験時間:45分。

解答例

陰謀論が現代政治において重要なのは、単に一部の人が誤った情報を信じるという問題にとどまらず、民主主義が成立するために必要な「何が事実か」という共通の基盤そのものを崩す可能性があるからである。

政治では、政策について意見が異なること自体は当然である。増税すべきか、社会保障を拡充すべきかといった問題には、価値観や利益の違いによって複数の答えがありうる。しかし、選挙結果が捏造された、政府や報道機関が秘密裏に国民を支配しているといった陰謀論が広く信じられれば、意見を争う以前に、議論の前提となる事実について合意できなくなる。

2021年1月6日のアメリカ連邦議会議事堂襲撃事件は、この危険性を示している。選挙の正当性そのものに対する疑念が政治的行動と結びつけば、選挙によって政権を選び、その結果を受け入れるという民主主義の基本的な仕組みまで不安定になりうる。

さらに、インターネットは陰謀論の影響を大きくした。従来は新聞やテレビなど限られた媒体が多くの人に情報を届けていたが、現在は誰でも情報を発信できる。これは多様な意見を表明できるという点では民主主義にとって望ましい。しかし同時に、根拠の乏しい情報でも短期間に大量の人へ届くようになった。特に、自分がすでに信じている考えと一致する情報ばかりを選べば、反対の証拠に触れず、陰謀論への確信を強めることもある。

では、陰謀論を規制すればよいのだろうか。私は、国家が「正しい情報」を決め、誤った情報を一律に禁止することには慎重であるべきだと考える。何が真実かが当初は明確でない場合もあり、政府自身が誤る可能性もある。また、政府に都合の悪い意見まで「陰謀論」として排除されれば、表現の自由や権力監視という民主主義の別の基盤を傷つける。

一方、すべてを個人の判断に任せるだけでも不十分である。陰謀論には、反証を示されるほど「権力者が真実を隠そうとしている」と解釈し、かえって信念を強めるものもある。そのため、誤った情報を一つずつ訂正するだけでは解決しない。

重要なのは、特定の考えを強制的に消すことよりも、人々が異なる情報を比較し、自ら誤りを修正できる環境を作ることである。

第一に、SNSなどの事業者には、どのような基準で情報が推薦されているのかを可能な限り透明にし、根拠の乏しい情報が短期間に大量拡散する仕組みを検証できるようにすることが求められる。

第二に、政府や報道機関自身も信頼を得る努力が必要である。誤りがあれば訂正し、政策判断の根拠となる資料やデータを公開するべきである。「専門家や報道機関を信じなさい」と求めるだけではなく、なぜその情報が信頼できるのかを市民が確かめられる状態を作らなければならない。

第三に、市民にも、情報の発信者や根拠を確認し、一つの情報源だけで判断しない能力が求められる。ただし、陰謀論を信じる人を単に「愚かな人」として排除するべきではない。政治や報道への不信、不安や疎外感が陰謀論を受け入れやすくする場合もあるからである。相手を社会から排除すれば、かえって「自分たちは真実を知っているため迫害されている」という考えを強める可能性がある。

民主主義では、すべての人が同じ意見をもつ必要はない。しかし、異なる意見を争いながらも、証拠によって自分の認識を修正できるという最低限の共通基盤は必要である。陰謀論の最大の危険は、誤った情報そのものよりも、その修正可能性を失わせることにある。したがって陰謀論には、国家による一方的な真実の決定ではなく、情報源の透明性、報道や政治への信頼の確保、市民の情報判断能力を高めることによって向き合うべきだと考える。


A方式 口頭試問(法律学科)

問題

「日本の民事の裁判では、勝っても負けても、弁護士に支払う費用は、原則として、訴えた人と訴えられた人が、それぞれ負担することになっています。しかし、これでは、せっかく裁判に勝っても、弁護士に支払う費用は、負けた側から回収することができず、自分で負担しなければなりません。そこで、弁護士に支払う費用を、裁判に負けた側に負担させる制度を導入すべきであるという意見があります。このような制度の導入について、あなたはどう考えますか。」

口頭試問時間:約15分。
口頭試問の開始前に、2分で自己アピールを兼ねた自己紹介を実施。

解答例

私は、敗訴者が相手方の弁護士費用をすべて負担する制度を一律に導入することには反対です。

確かに、裁判に勝っても多額の弁護士費用が残るのでは、権利が十分に回復されたとはいえません。

しかし、裁判を始める時点ではどちらが勝つか分からない場合も多くあります。敗訴すれば自分と相手の両方の弁護士費用を負担するとすれば、資力の乏しい人ほど、正当な主張があっても裁判を起こせなくなるおそれがあります。

したがって原則は各自負担を維持しつつ、明らかに不合理な訴えや訴訟を不当に長引かせた場合などには、裁判所が相手方の弁護士費用の一部を負担させられる制度にするのがよいと考えます。


A方式 口頭試問(政治学科)

問題

「日本では、高齢ドライバーによる他人を巻き込む重大事故が多発していることを受け、運転免許証の自主返納制度が導入されています。この制度は、個人の運転する自由を尊重した上で、高齢者の自己判断に委ねるものです。これに対して、社会の安全を守るため、高齢者の自己判断に委ねず、一定の年齢に達したら一律に運転免許証の返納が義務づけられる強制返納制度を導入すべきとの議論がありますが、あなたはどう考えますか。」

口頭試問時間:約15分。
口頭試問の開始前に、2分で自己アピールを兼ねた自己紹介を実施。

解答例

私は、一定の年齢だけを基準として一律に免許を返納させる制度には反対です。

重大事故を防ぐために一定の制限は必要ですが、同じ年齢でも運転能力には大きな個人差があります。また、公共交通機関の少ない地域では、運転できなくなることが生活そのものを難しくする場合もあります。

ただし、完全に本人の自己判断だけに任せることにも問題があります。

そこで、年齢が上がるほど運転能力や認知機能の検査を頻繁に行い、能力が低下した人には免許停止や、昼間・地域限定などの条件を設けるべきだと考えます。

年齢そのものではなく、実際の危険性に応じて自由を制限する方が、安全と個人の自由を両立できると考えます。


B方式 総合考査Ⅰ

問題

ロシアの指導者ウラジーミル・プーチン氏に対する様々な国の世論の信頼感と不信感の過去約20年あまりの変化を示したグラフを提示し、このグラフの国際比較からわかることの説明を求めました。

解答の形式:A3原稿用紙形式・400字程度。
試験時間:45分。

解答例

各国に共通する最大の特徴は、約20年間でプーチン氏への信頼が低下していることである。特に欧米諸国では、2000年代初頭には比較的高い信頼を示す国もあったが、その後は低下し、2022年には多くの国で不信が極めて高い水準に達している。一方、その変化は全ての国で同じではない。低下する時期や程度には差があり、プーチン氏への評価が比較的高く維持された国もある。したがって、評価はプーチン氏個人の行動だけで決まるのではなく、各国とロシアとの関係や国内政治などによっても異なると考えられる。ただし、グラフが直接示しているのは各国世論の変化までであり、その原因をグラフだけから断定することはできない。国際比較からは、同じ政治指導者への評価でも国ごとに大きく異なる一方、重大な国際情勢の変化を境に複数国が同じ方向へ動く場合があることが読み取れる。


B方式 総合考査Ⅱ

問題

「あなたはとある地方の県知事です。県内から県立大学への進学者数を増やしたいと考えています。」

という前提において、進学者数が低迷している原因を自由に設定しながら、どのような政策を講じるべきかについて論じることを求めました。

解答の形式:A3原稿用紙形式・400字程度。
試験時間:45分。

解答例

私は、進学者が少ない主因を、県内高校生にとって県立大学で学ぶことと将来の進路とのつながりが見えにくいことだと仮定する。そこで単に県内出身者の学費を下げるのではなく、県内企業や自治体と連携した長期インターンシップを授業に組み込み、大学での学びが地域での就職や起業にどう結びつくかを高校生に示す。また、高校生が大学の授業を受けられる制度を設け、高校段階から大学との接点を増やす。ただし、原因の設定が誤っていれば政策は効果を持たない。そのため、まず県内高校生への調査によって県外大学を選ぶ理由を確認し、政策実施後も志願者数だけでなく入学者数や卒業後の進路を検証する。進学者数そのものを目的にするのではなく、県立大学を選ぶ利益を高めた結果として進学者を増やすべきである。

ブログ掲載用に、講義概要・問題文・条件を削らず、解説や採点だけ外して「問題+解答例」に統一します。

2023年度

A方式 模擬講義・論述試験

模擬講義の概要

講義のテーマ:SNS上の誹謗中傷と刑法

講義の概要

Ⅰ はじめに
一 SNSと誹謗中傷
二 この講義の課題
三 この講義の全体像

Ⅱ 本題に入る前に――そもそも刑法って?

Ⅲ 誹謗中傷と刑法
一 名誉毀損罪・侮辱罪による対応
二 その他の犯罪類型による対応
三 表現の自由との調整
四 小括

Ⅳ 侮辱罪の法定刑引上げ等にかかる法律案の概要と検討
一 概要
二 相違点
三 検討

Ⅴ おわりに

*大学1年生が受講して理解できるレベルの講義(50分)を行う。

問題

「講義の内容を15行程度で要約した上で、処罰範囲、刑の重さ、表現の自由との調整などの観点から、SNS上の誹謗中傷に対する望ましい処罰のあり方について、あなたの考えを述べなさい。」

解答の形式:A3原稿用紙形式・2240字以内。
試験時間:45分。

解答例

【講義の要約】

SNSの普及によって、誰もが容易に多数の人へ情報を発信できる一方、特定の人に対する誹謗中傷も短時間で広がり、大きな被害を生じさせるようになった。刑法はこうした行為に対し、主として名誉毀損罪や侮辱罪によって対応する。名誉毀損罪は、公然と事実を示して人の名誉を傷つける行為を対象とし、侮辱罪は、事実を示さずに公然と人を侮辱する行為を対象とする。また、投稿内容によっては他の犯罪が成立する場合もある。しかし、誹謗中傷への刑罰を広げれば、政治家や企業などに対する正当な批判まで萎縮させる危険があるため、表現の自由との調整が必要である。2022年の改正では、侮辱罪の成立範囲自体を広げず、従来の拘留・科料に加えて、より重い刑を科すことができるよう法定刑が引き上げられた。問題は、悪質な誹謗中傷に十分対応しつつ、正当な表現を不当に処罰しない制度をどのように設計するかにある。

【私見】

私は、SNS上の誹謗中傷について、刑罰を重くすること自体には賛成するが、処罰範囲を安易に広げるべきではないと考える。刑罰の目的は、不快な表現を社会からなくすことではなく、他者の名誉を深刻に侵害する行為を抑止し、責任を問うことにあるからである。

まず、処罰範囲は、被害者が傷ついたかどうかだけで決めるべきではない。同じ言葉でも、友人間の口論、商品の批評、政治家への批判、特定個人を多数で攻撃する投稿では意味が異なる。したがって、表現の内容だけでなく、対象、文脈、公開範囲、反復性、拡散の程度、相手を攻撃する目的などを総合して、悪質性の高い行為を中心に処罰すべきである。特に、特定の個人を狙って長期間繰り返す行為や、多数人に攻撃を呼びかける行為は、単発の軽率な投稿より重く評価する必要がある。

次に、刑の重さも行為の悪質性に比例させなければならない。SNSでは一つの投稿が急速に拡散し、削除後も保存や転載がなされるため、被害が大きくなる場合がある。この点から、悪質な事案に十分対応できるよう侮辱罪の法定刑を引き上げたことには合理性がある。

しかし、法定刑が重くなったからといって、すべての侮辱を重く処罰すべきではない。反復性、拡散性、計画性、被害の重大性などが高い場合には重い刑を用い、軽微な事案には軽い処分を残すべきである。刑の上限を引き上げることと、処罰される行為そのものを広げることは区別する必要がある。

最も慎重であるべきなのは、表現の自由との調整である。民主主義では、政治家や行政、企業など社会的影響力を持つ主体に対して厳しい批判が向けられることがある。その表現が礼儀正しいとは限らない。しかし、強い言葉を使ったというだけで刑事責任を恐れるようになれば、権力や社会問題に対する批判そのものが弱くなる。

したがって、公共的な問題についての意見や論評は広く保護し、単なる無礼さと、個人の人格を攻撃すること自体を目的とした表現とを区別する必要がある。特に政治的な批判については、処罰されるかもしれないという恐れ自体が言論を萎縮させることにも注意しなければならない。

また、誹謗中傷への対応を刑法だけに頼るべきでもない。投稿の迅速な削除、発信者情報の開示、民事上の損害賠償、相談支援などによって被害を止め、回復する仕組みも重要である。刑罰は強力である反面、誤って用いれば表現の自由を大きく損なう。そのため、刑法は他の手段では十分に対応できない悪質な事案に重点を置くべきである。

SNSによって誹謗中傷の被害の規模が変化した以上、刑罰もその変化に対応する必要がある。しかし、「被害が深刻だから処罰を広げる」というだけでは不十分である。望ましい制度とは、悪質性の高い攻撃には実効的な刑罰を科す一方、公共的な議論や正当な批判が萎縮しない境界を明確にするものである。被害者の保護と表現の自由のどちらか一方を選ぶのではなく、刑罰を必要な範囲に限定することで両者を両立させるべきだと考える。


A方式 口頭試問(法律学科)

問題

「臓器移植に関する問題についてうかがいます。現在の法律では、移植のために自分の臓器を売ることは禁じられています。しかし、現状では多くの人が臓器移植を待っているにもかかわらず、臓器を提供する人の数はわずかです。そのため、本人の自由な意思に基づいて臓器を売ることは認め、移植用臓器の供給量を増やすべきだという意見があります。あなたは、この意見についてどう思いますか。」

口頭試問時間:約15分。
その他:口頭試問の開始前に2分で自己アピールを兼ねた自己紹介を求めました。

解答例

私は、本人の自由な意思があっても、臓器の売買を認めることには反対です。

理由は、臓器の売買では「自由な意思」が経済的な困窮によって歪められやすいからです。高額な報酬があれば、貧しい人ほど健康上の危険を引き受けて臓器を売ることになり、結果として、経済的に弱い人から豊かな人へ臓器が移る市場になりかねません。

一方で、臓器不足は深刻なので、提供者の交通費や休業による損失など、実際に生じた負担を補償することまで禁止する必要はないと思います。

利益を得るための臓器売買は禁止しつつ、臓器提供によって提供者が経済的に損をしない制度を整え、死後の臓器提供も増やすことが、本人の自由と公平な移植医療を両立させる方法だと考えます。


A方式 口頭試問(政治学科)

問題

「女性の政治参加に関してうかがいます。国際的にみて、日本は、女性議員の割合が低い国です。たとえば、今年のジェンダー・ギャップ指数のランキングでも、日本は、とりわけ政治分野の順位が低く、146か国中139位となっており、その主な理由として、衆議院議員の女性の割合が9.7%にとどまることが指摘されています。このように、女性議員の割合が低い日本の現状について、あなたはどう考えますか。」

口頭試問時間:約15分。
その他:口頭試問の開始前に2分で自己アピールを兼ねた自己紹介を求めました。

解答例

私は、女性議員が9.7%にとどまる現状は改善すべきだと考えます。ただし、女性であれば必ず女性の利益を代表するという意味ではありません。

問題は、人口の約半分を占める女性が政治家になる過程に大きな偏りがある可能性と、議会に多様な生活経験が反映されにくくなることです。

そこで、まず政党の候補者選定を透明化し、育児との両立支援や政治活動中のハラスメント対策など、女性が立候補する際の障壁を減らすべきです。

それでも大きな格差が続くのであれば、議席そのものを男女に割り当てるのではなく、各政党が候補者の一定割合を女性とする候補者クオータを時限的に導入することは検討に値すると考えます。

数だけを合わせるのではなく、政治参加への障壁を減らし、誰もが政治家になる機会を持てる状態を目指すべきだと思います。


B方式

B方式 総合考査Ⅰ

問題

主要な食物の生産(タンパク質とミルクに限る)が環境に与える影響を、温室効果ガス排出量、土地利用、土壌の酸性化、水域の富栄養化、水不足という5つの指標から分析した図を示し、用語の解説を参考にしつつ、環境にやさしい食生活について図から読み取れることの説明を求めました。

解答の形式:A3原稿用紙形式・400字程度。
試験時間:45分。

解答例

図からは、同じ量のタンパク質を得る場合でも、食品によって環境負荷が大きく異なることが分かる。牛肉や羊肉は、温室効果ガス排出量と土地利用が特に大きく、酸性化や富栄養化でも負荷が高い。一方、豆類や豆腐などの植物性タンパク質は、多くの指標で負荷が小さい。牛乳と豆乳の比較でも、豆乳の方が多くの指標で環境負荷が低い。ただし、食品の順位は指標ごとに必ずしも一致せず、同じ食品でも生産方法によって負荷に差がある。したがって、環境にやさしい食生活とは、特に環境負荷の大きい反芻家畜由来の食品を減らし、植物性食品へ一部置き換えるとともに、一つの指標だけではなく、水不足など地域固有の条件や生産方法も含めて複数の環境負荷を総合的に考えて食品を選択することだと考えられる。


B方式 総合考査Ⅱ

問題

「あなたは野党の党首です。SNSを活用し、政権を批判してきました。ある日、あなたの投稿に対して次のようなコメントが書き込まれました。『あなたは批判ばかりで対案を出さない。フォロワーを煽って政権がスムーズに法案を通すことを妨げている』というものです。」

という仮想事例を示し、このコメントへの反論を返信の形式で書くことを求めました。

解答の形式:A3原稿用紙形式・400字程度。
試験時間:45分。

解答例

ご指摘ありがとうございます。しかし、野党が政府案の問題点を示すことは、法案成立の妨害ではなく、政府に説明や修正を求めるための重要な役割です。法案は速く通ればよいのではなく、異なる立場から検討されてこそ、誤りや少数者への不利益を減らせます。政権に議席の多数があっても、その法案の内容まで自動的に正しいことにはなりません。ただし、「批判ばかりで対案が見えない」という指摘は重く受け止めます。批判が目的化すれば、有権者は私たちが何を実現したい政党なのか判断できないからです。今後は、政府案のどこに反対するのかだけでなく、修正案や代替策、その費用や欠点も同時に示します。またSNSでは、怒りをあおる表現より、政府案と私たちの案を比較できる資料を提示します。野党の役割は、法案を止めること自体ではなく、競争する政策を示し、よりよい決定を可能にすることだと考えています。

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