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山梨県の東大合格者は、なぜ5人なのか

――保護者との面談をきっかけに、もう一度本気で考えてみた

先日、保護者との面談でこんな話題になった。

「山梨県の東大合格者が5人しかいないって、
正直、衝撃ですよね。
なんでなんでしょうか?」

その場では一通り説明したが、
改めて考えてみると、やはりこの数字は冷静に見て異常である。


1|人口比で考えると「5人」は明らかに少ない

山梨県の人口は約80万人。
単純に人口比だけで考えても、

  • 東大合格者20人程度はいてもおかしくない。

さらに重要なのは、山梨が

  • 東京の隣県
  • 首都圏の通学・情報圏内

という立地にあることだ。

この条件を考慮すれば、

30〜40人程度の合格者がいても不思議ではない

それにもかかわらず、
山梨県の東京大学合格者数は 5人

これは誤差では説明できない。


2|他県との比較で見えてくる「おかしさ」

山梨県は

  • 合格者数:5人
  • 輩出校数:3校

  • 石川:31人(3校)
  • 富山:32人(5校)
  • 福井:17人(3校)
  • 熊本:21人(2校)

石川・富山・福井・熊本など、
輩出校数がほぼ同じ県でも、東大合格者は3〜6倍いる。

決定的なのはここだ。

山梨は「学校が少ない」のではなく、
1校あたりが生み出す東大合格者数が極端に少ない

実際、1校あたりで見ると、

  • 奈良:18人
  • 東京:13人
  • 石川:10人
  • 富山:6人
  • 山梨:1.67人

山梨だけが、明確に別の水準にある。

ここから言えるのは、

「トップ校」が存在しないという事実

東大合格者が多い県には、共通点がある。

  • 開成、灘、西大和、ラ・サール
  • 県立浦和、久留米大付設 など

最上位層が1校に集まり、
日常的に高負荷・高密度の競争が起きている

一方、山梨では最多でも1校2人。

東大を量産する学校が、そもそも存在しない

ただ、東大は少なくても今は医学部を目指す人が多いから、国公立の医学部は多いはず。


3|山梨の進学実績の中心は「国公立医学部・地域枠」

山梨の進学実績を冷静に見ると、
その大多数は国公立医学部であり、
しかもそのほとんどが 山梨大学医学部の地域枠である。

https://www.saijuken.com/school/index.php?%E7%94%B2%E5%BA%9C%E5%8D%97%E9%AB%98%E7%AD%89%E5%AD%A6%E6%A0%A1

山梨大学の入試方法が学校推薦地域枠と理Ⅲに次ぐ難易度の後期しかない以上、地域枠が主だと考えるのが妥当である。

まず、この事実自体は否定されるべきものではない。
地域医療を支える制度として、地域枠には一定の意義がある。

しかし、ここで重要なのは次の点だ。

本来、地域枠は「第一志望」になる制度ではない

地域枠医学部には、制度上の制約がある。

  • 卒後の勤務地・勤務年数の拘束
  • 専門科選択やキャリア形成の自由度が低い
  • 研究医・高度専門医・都市部医療への進路が制限されやすい

つまり、

医師としてのキャリアを考えたとき、
地域枠は選択肢を狭めるリスクを内包している

本来であれば、

  • 学力に余裕がある受験生ほど
  • 一般枠で国公立医学部を受験したい
    と考えるのが自然である。

金銭的メリットも、実は大きくない

また、「学費が安いから地域枠」という説明も、実態とはやや異なる。

  • 私立医学部 → 学費が高い
  • 国公立医学部 → もともと学費は低い

つまり、

国公立である以上、
地域枠と一般枠の金銭的差は限定的

キャリア制約というデメリットを考えると、
「金銭面で大きく得をする制度」とは言い難い。

それでも地域枠が「実績の大半」を占めているという事実

ここで改めて、山梨の現状を見る。

  • 本来は一般枠で挑戦したいはずの国公立医学部
  • キャリア制約・金銭的優位性の小ささがあるにもかかわらず
  • 進学実績の多くが地域枠に集中している

これは偶然ではない。

問題は「制度」ではなく「学力水準」

ここで論点がはっきりする。

地域枠が多いから東大が少ないのではない。
一般枠医学部や東大を正面から戦える学力層が薄いため、
地域枠が“現実的な最上位ルート”になっている

という構造である。

言い換えれば、

一般枠に届かないため、地域枠が選ばれている

地域枠が第一志望なのではなく


4|「共通テスト77%」という数字の意味

地域枠医学部の学力水準については、
他県の大学が情報公開しているデータが参考になる。

令和6年度(2024年度)合格者の入試結果

  • 岐阜県地域枠
    • →共通テスト平均点:731.9点 / 900点(約81.3%)
    • →共通テスト最低点:693.0点 / 900点(約77.0%)
  • 全国枠
    • →共通テスト平均点:754.8点 / 900点(約83.9%)
    • →共通テスト最低点:738.0点 / 900点(約82.0%)

(出典:岐阜大学 令和6年度入学者選抜個人成績等の開示)

例えば、岐阜大学医学部の地域枠では、

  • 共通テスト合格最低点
    約77%

という数値が公表されている。

山梨県の学校推薦型地域枠と似た制度である以上、山梨大学医学の合格最低点と大差ないと考えられる。


5|77%は「MARCH帯」であって「最上位層」ではない

共通テスト得点率を全国的な進学水準に当てはめると、

  • 77%前後:MARCH(中位)合格帯
  • 85%以上:東大・一橋・東工大・早慶上位・国公立医学部一般

つまり、

77%は“準上位層”であり、
本当の高学力層ではない


6|山梨では77%が「最上位」として扱われている

ここに、山梨の最大の問題がある。

  • 地域枠医学部に合格
  • 共通テスト77%以上で成功
  • それが県内で最も分かりやすい成功モデルになる

結果として、

77%が学力水準になる

85%以上を本気で目指す理由が、
制度的にも文化的にも弱くなる。


結論|問題は「なぜ5人なのか」ではない

本当の問いは、これだ。

なぜ、
本来20人、条件次第では30〜40人いてもおかしくない県で、
5人しか生まれない構造になっているのか。

現状の結論としては

山梨では、
共通テスト77%(MARCH帯)が最上位として機能しており、
東大・一工・早慶上位・医学部一般に対応する
85%以上の学力層が、層として育っていない。

育てるシステムも存在しない

とまあ、解決策も無いままつらつら現状を考えてきた訳だが、共通テストまであと少し、自分の力を信じて頑張っていきましょうという話です。

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